人喰い病 / 石黒達昌

人喰い病 (ハルキ文庫)

人喰い病 (ハルキ文庫)

レビューという名の感想文デス。


医療ホラーというか、科学系ホラーというところでしょうか。
背表紙の紹介にもパラサイト・イヴにも影響をとあるので、そういう系統のものだと思います。
これは短篇集で4本入っています。
1つ目は低体温の女性と医師の話の「雪女」
舞台は昭和の大日本帝国時代。
凍傷研究の医師と、低体温でなぜか健康な女性の話になります。
なぜ低体温でも大丈夫なのか、他の家族はどうだったのか、遺伝なのか、そもそもどこから来たのかという感じで女性のことを調べていきます。
彼女の血に秘密があることがわかり、自分の体を実験台にして、彼女と血液交換をして、そのまま…という展開でした。
結局のところ、彼女が何者かということは明示されず、二人共亡くなってしまいます。
体温が入れ替わったところで死亡となっているので、一般人である医師は低体温症で、低体温の彼女は普通の体温になったことで死亡ということになるのでしょうか。
どうにもモヤモヤしてはっきりわかりません。
2つ目は表題作である「人喰い病」
原因不明で他者への感染力はないが、治療方法がなく短期間で人を死に至らしめる「人喰い病」とそれを研究する医師の話です。
最終的に原因はある植物ということになりましたが、殲滅してしまったので、原因は結局わからずじまいというオチに。
他者を潰せば、最終的に自分も潰れるという感じの話でしょうか。
3つ目は「水蛇」
研究者が山奥に研究に来ていて、たまたま見つけた奇妙な生き物を観察しているうちに食べてしまい、最終的に同化してしまうという話。
これだけ、科学的な話もそんなに無く、取り込まれていくというタイプのホラーでした。
4つ目は「蜂」
他者がほとんど認識できない特殊な蜂に追いかけられる男の話デス。
精神病患者的な思考をして、他人からはバカにされ、医者にもそんなものはいないと否定され、研究者にも聞き流されてしまうので、自力で解決をしようとして逃げていきます。
が、結局追いつかれて、蜂に刺されて、死の淵に落ちていってしまいます。

ストーリー的にはこうなのですが、ところどころに書いてあるように、ちょっとわかりにくいのが多いかなと。
あとがきにも作者自身がわかりにくいとよく言われるみたいなことが書いてありました。
専門用語的なわかりにくさは、まぁ問題ないです。
自分的には、エンドでの状況の明示が少ない感じで、それまで科学していた話が急に国語し始めてしまうのがわかりにくい感じがしました。
だから「水蛇」と「蜂」については、科学な話が殆ど無いので、すっと読むことは出来たわけです。
テーマとか背表紙の文章で面白そうだと思って読み始めたんですが、どうにも読みにくかった印象が有ります。
何箇所かよくわからず巻き戻ったり、状況を理解できないなという部分も有りました。
面白くないわけではないですが、結構人を選ぶ文章ではないかと思います。