罪花 / 郄樹のぶ子

罪花

罪花

レビューという名の感想文です。


6本の短編集です。
帯に恐怖と官能ということで、いろいろ期待して読んだのですが、基本的に悲惨な話しかありません。
「灰色の夢」は認知症を患った母とその娘の話。
「フェイク」は嘘つきと万引きが趣味の女性とそれに惹かれた女性の話。
「夕日の赤」は震災で母と妹を失った女の子の話。
「囁かれた女」はストレスが貯まりいろいろと壊れ始めた女性の話。
「堕ちたトマト」は父親と関係を持っていた女の子の手紙。
「花に刻め」は共依存な男女の話。
バッサリ要約するとこんな感じでしょうか。
すべての話に「死」と「事件」が絡んできます。
事件になる前や迷宮入りするようなのもありますけどね。
とりあえず、なんというか、すべての話でかなり後味が悪いです。
話はなかなかおもしろいわけですが、読後感がなんかモヤモヤするというかやりきれないというか。
各短編で終わった後どうなったのか(「囁かれた女」は冒頭で結果が出ますが、終わりとそこに繋がる部分が無い)が、非常に気になる感じでもあります。書いちゃうと蛇足にしかならないんでしょうけども。
ただ、「落ちたトマト」の前半はちょっとイライラしますね。
語り口調的に。途中からやっぱり悲惨な話になりますが。
「花に刻め」だけ男女の話で(「落ちたトマト」も男女だけど基本ひとり語りなので)、他に比べてちょっと長めです。
なかなかおもしろかったけど、人に勧められるかっていうと、ちょっと微妙。
話が悲惨なのしか無いので。