死にたくなったら電話して / 李龍徳

死にたくなったら電話して

死にたくなったら電話して

レビューという名の感想文です。


校正前バージョンでの感想です(ブクログ企画で頂いたモノです)
なかなかに面白かったです。
全体的に村上龍の様に余分な言葉が多く、オチのメールでは愛と幻想のファシズムを思い出しました。
選評にもあったように、冒頭を読むのがかなり苦痛です。
エッチシーンはエロかったですが、最初の時だけですかね。
後半はただの風景描写的に感じました。重要ではないからいいんでしょうけど。
面白いなと思ったのは、菅野や日浦との決別シーンですね。
決別後の1回だけのハッピーに対して、陰鬱とした雰囲気に包まれてしまうのもかなりいいです。
このあたりはほんと引きこまれました。
ただ、メール以降は若干蛇足かなと。
最後の徳山のセリフも、なんか雰囲気が違う感じで拍子抜けです。
人物関連だと、大体ろくな人出てきませんね。
主人公の徳山はイケメンなだけでダメな人ですし、初美も彼女にはしたくないタイプ(友達ならまだいいかもしれない)。
菅野は空気を読む気が無いのか読めないのか妬み始めるとうざいタイプ。
日浦はお山の大将、内場たちはその腰巾着。
形岡は比較的まともかなと思いましたが、空気読まずに前に進みたがるタイプですね。
冒頭がかなり苦痛でそこを抜けたら一気に面白くなるのですが、メールがらみ、在日の話と、微妙な空気がながれてそのまま終わってしまうのが本当に残念。
どうせなら決別後の陰鬱な空気のまま進んで欲しかったところです。
面白いことは面白いですが、人に薦めれるかというと、かなり選んで薦めなきゃいけない感じです。