海と毒薬 / 遠藤周作

海と毒薬 (新潮文庫)

海と毒薬 (新潮文庫)

戦争中九州のある病院で起こった捕虜の生体解剖事件を小説としたもの。題材のみで詳細部はオリジナルだそうです。
解説を読まなかったら多分誤解していたと思います。読み進めて第一章と第三章で妙に引っかかる部分があったのです。日本の戦争はわるいこと、日本人は悪いことをしたんだということが出ているように思ったのです。解説を読むとそれは誤解らしいのです。
はっきり言って、俺の読み込みや頭脳では、著者が言いたいことがわかりません。生体解剖を行うコトが異常だったのか、その時の世界が異常だったのか。時代背景を考えれば、この生体解剖はアリだと思います。日本にとって敵国の捕虜で死刑確定であるなら、無駄な銃弾や人間を使うより、生体解剖などで当時日本が苦しんでいた結核治療に生かすのもアリだと思います。
こういう考えなので、戸田の心情には微妙に共鳴できますね。