元朝秘史 チンギス=ハン実録 / 岩村忍

元朝秘史―チンギス・ハン実録 (中公新書 18)

元朝秘史―チンギス・ハン実録 (中公新書 18)

レビューという名の感想文です。


チンギス=ハンの生涯を綴った歴史書?である元朝秘史の解説書です。
翻訳書ではないということはあとがきに記載してあり、面白くないところや繰り返しをカットして、著者の研究の結果による推測や解説が入っています。
時々、原文の翻訳が出てきますけどね。
元以前のモンゴル帝国の時代の話なので、知らないことがたくさんです。
モンゴルの遊牧民の風習等がなかなかに面白いです。
使者の身体や生命は脅かしていけないとか(チンギスの使者の髪を切ったりしてブチ切れられる国もあったり)、死者は深く埋めてそこを馬で踏み固めてならすとか(これが原因でチンギスの墓が見つかってないとか)、極端に血を流すことを嫌うとか(処刑で首を切らずに圧死させたり)。
抵抗したものは徹底的に潰し、降伏したものは許すという話は結構前から聞いていたんですが、戦争でこういう部分については結構後の方に出てくるんですね。
読みにくいなぁと思ったのは、登場人物の関係性。馴染みが無かったり、日本人的に読みにくい名前が多かったりで、誰が誰だっけ?となることが多いです。
原文の翻訳も現代語訳ではないので、難しいです。
全体の流れや、システムなどは読んでて面白いなぁと思うことが多いです。
民も馬も資産も奪い奪われってのが多いのも面白いですね。一応現代でも、嫁をさらう風習は残っている(全員納得の儀式的なもの)ところもあるとかなんとか。
若い頃から兄弟殺しやってたりもするんですよね、チンギスは。
そうかと思えば、後継者決めるの忘れてたり(クリルタイで王を誰にするかというシステムがあるから考えていなかったのではという話もあるらしいですが)するのが面白い。
読み終わったところで、光栄のジンギスカンシリーズの第2作あたりをやりたくなりますね。第1部としてモンゴル平定が入っているのです。